あらすじ
「この本が覚えているのは、誰かが失くした『記憶』の温度——」 街の片隅、古びた書店の奥深くに隠された「記憶の図書館」。そこには、世界中の人々が忘れてしまった瞬間が、本となって眠っていた。 エリーゼは自らの失われた記憶を探すため、その扉を開く。他人の記憶の本を紐解くたび、かつて誰かが抱いた喜びや痛みが、自らの体へと流れ込んでくる。 しかし、他人の忘れものを勝手に「修復」しようとすることは、新たな歪みを生む危険な行為だった。厳しさを増す図書館のルール、そして姿を現す冷徹な監視者マロウ・クイル。 やがてエリーゼは、自らの欠けたピースと引き換えに、大切な人の未来が奪われるという過酷な真実を知る。 忘れることは、救いなのか。覚えていることは、罪なのか。記憶の書が紐解く、美しくも切ないファンタジー。
