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記事一覧に戻る更新日: 2026/6/30
総合英語力

【英語多読のすすめ】物語を楽しみながら英語力を伸ばす学習法とは?

〜多読学習用の書籍『The Books That Remember』と、多読研究から考える言語習得〜

英語の長文を読むとき、「わからない単語に出会うたびに辞書を引いてしまい、ストーリーが頭に入ってこない」と感じたことはありませんか。

英語学習では精読も大切ですが、楽しみながらまとまった英文を読み続ける「多読(Extensive Reading)」も、多くの教育現場や研究で注目されている学習法です。

今回は、多読学習用の書籍『The Books That Remember』の一節を紹介しながら、多読がなぜ英語学習に役立つと考えられているのかを、研究とともにご紹介します。


まずは体験:多読学習用の書籍『The Books That Remember』より

まずは、多読教材として楽しめる物語の一節(Chapter 4: The Guardian Appears)をご覧ください。

Elise moves quickly, almost too quickly—her mind already sprinting to the owner’s location. She pulls a book from a nearby stack, its cover dark as wet stone.

She opens it.

For a heartbeat, the library quiets. Then Elise is there—standing in a tight hidden-room view, where a seam of light cuts across the floor. A watcher’s breath seems to echo in the air, and the memory doesn’t show her a whole scene. It shows how she is handling the rules.

Elise jerks her hands back. “No. That’s—”

A cold presence fills the corridor entrance behind the shelves. Marrow Quill steps out as if the dark itself decided to stand. Its face is unreadable, and its voice sounds like a page turning in a locked book.

“Stop reading Jude,” Marrow Quill says.

本を開いた瞬間に静まり返る図書館、隠し部屋の光景、そして背後から現れる謎の存在。

細かな単語をすべて理解できなくても、「この先どうなるのだろう」と物語を追いたくなる感覚があるのではないでしょうか。

このように、内容を楽しみながら英語に触れることが、多読の大きな特徴です。


多読研究から見る「物語を読む」学習法

Stephen Krashen氏の研究

多読について語る際によく引用される研究者の一人が、言語習得研究者のスティーブン・クラッシェン(Stephen Krashen)氏です。

クラッシェン氏は、理解可能な英語に多く触れることが言語習得につながるという「インプット仮説(Input Hypothesis)」を提唱し、長年にわたり読書と言語習得の関係について研究してきました。

代表的な著書 『The Power of Reading』 では、英語学習者だけでなく母語話者も対象とした数多くの研究を整理し、自発的な読書(Free Voluntary Reading)が、語彙力・読解力・文章を書く力・文法力などの向上と関連していることを示した研究が数多く報告されていることを紹介しています。

また、クラッシェン氏の公式サイトでは、多読や自由読書に関する論文や研究レビューが公開されており、多読がどのような条件で効果を発揮しやすいのかについても解説されています。

もちろん、学習効果は読書量や教材の難易度、学習者の英語レベルなど様々な要因によって変わります。しかし、「理解できる英語を継続的に読むこと」は、現在でも英語教育研究において重要な学習アプローチの一つとして位置付けられています。

『The Books That Remember』のように、内容を楽しみながら読める本は、このような考え方を取り入れた多読教材の一例と言えるでしょう。

メタ分析でも報告されている多読の効果

クラッシェン氏の研究だけでなく、多読研究全体を分析した論文も発表されています。

例えば、Nakanishi(2015)は42件の研究結果を統合したメタ分析を行い、多読は英語力の向上に中程度の効果が認められたと報告しています。また、一定期間継続して取り組むことや、学習者のレベルに合った教材を使用することが、多読の効果を高める要因である可能性も示されています。

このように、多読は「たくさん読むこと」だけではなく、自分に合ったレベルの本を継続して読むことが重要と考えられています。

文脈の中で語彙に触れること

多読では、知らない単語があっても前後の流れから意味を推測しながら読み進める場面が多くあります。

例えば今回の文章でも、

  • sprinting
  • corridor
  • unreadable
  • presence

といった単語を完全に知らなくても、

  • 主人公が急いで行動していること
  • 緊張感のある場面であること

は文章全体から十分に伝わってきます。

このように、文脈の中で意味を推測しながら英語に繰り返し触れることは、多読で広く取り入れられている学習アプローチの一つです。


英語を「勉強する」から「読む」へ

多読では、一語一句を訳すことよりも、物語全体の流れを理解しながら読み進めることを重視します。

もちろん、精読が役立つ場面もあります。

一方で、

  • 英語を読む習慣を作りたい
  • 読むスピードを上げたい
  • 英語への抵抗感を減らしたい

という目的であれば、多読は取り入れやすい学習法の一つです。


多読を続けるための3つのポイント

1. 読書の流れを止めすぎない

知らない単語があっても、物語が理解できているなら、そのまま読み進めてみましょう。

辞書は必要な場面で活用しつつ、読むリズムを大切にすることも、多読ではよく勧められています。

2. 無理なく読めるレベルの本を選ぶ

多読では、辞書を頻繁に使わなくても内容をおおむね理解できる、少し易しめのレベルの本が勧められることが多くあります。

無理なく読める本を選ぶことで、読書を楽しみながら続けやすくなります。

3. 楽しめる本を読む

興味を持てる物語は、自然と読書量を増やしてくれます。

「続きが気になる」と思える作品を選ぶことも、多読を継続するコツです。


おわりに

『The Books That Remember』のような物語は、「英語を読むこと」そのものを楽しめる作品です。

英語学習では文法や単語の学習も大切ですが、それと並行して、自分が楽しめる英文を読み続けることも一つの方法です。

研究でも、多読は語彙力や読解力などの向上に役立つ可能性が示されており、特に継続して取り組むことの重要性が指摘されています。

まずは辞書を何度も引くことよりも、物語の世界に入り込みながらページをめくってみてください。

英語を読むことが「勉強」だけでなく、「楽しみ」の一つになるきっかけになるかもしれません。


参考文献

  • Krashen, S. D. (2004). The Power of Reading: Insights from the Research (2nd Edition).

https://www.sdkrashen.com/content/books/the_power_of_reading.pdf

  • Stephen Krashen Official Website

https://www.sdkrashen.com/

  • Nakanishi, T. (2015). A Meta-Analysis of Extensive Reading Research. TESOL Quarterly, 49(1), 6–37.

https://doi.org/10.1002/tesq.157

投稿日: 2026/4/12更新日: 2026/6/30
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