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記事一覧に戻る更新日: 2026/7/25
コラム

平均は約605点——年間193万人の中で「自分の現在地」を知るということ

自分のTOEICスコアが「高いのか低いのか」、気になったことはありませんか。その問いに答えるには、比べる相手——つまり全体の分布を知る必要があります。


193万人が受ける試験、という事実

IIBCの発表によれば、2024年度のTOEIC L&Rの受験者数は日本で約193.5万人にのぼります。これは日本の人口のおよそ1.5%が毎年受けている計算で、英語の試験としては圧倒的な規模です。

そして、IIBCが公開している公開テストの結果データでは、直近の回の平均スコアは605.0点(リスニング329.8点、リーディング275.2点)と報告されています。平均点は実施回によって上下しますが、おおむね600点前後で推移しています。

この二つの数字から、大切なことが二つ読み取れます。

一つ目: あなたが600点前後なら、それは「日本の受験者のちょうど真ん中あたり」だということ。決して恥ずかしい数字ではありません。

二つ目: 193万人が受けているからこそ、スコアは「通じる指標」になるということ。企業も学校も、これだけ大きな母集団の中での位置づけとしてスコアを読めるため、採用時にスコアを要件・参考にする(または今後その可能性がある)企業は73.6%にのぼると紹介されています。


平均点の「中身」を知ると戦略が変わる

直近回の平均の内訳をもう一度見てください。リスニング329.8点に対して、リーディングは275.2点。平均的な受験者は、リーディングのほうが50点以上低いのです。

これは多くの日本人学習者に共通する傾向で、リーディングセクションの時間不足——いわゆる「塗り絵」——が一因と考えられます。つまり、読解の処理速度を上げることは、平均的な受験者にとって最も伸びしろの大きい投資だということです。

研究では、快適に読めるレベルの英文を大量に読む多読によって読解速度が向上することが報告されています(Beglar, Hunt & Kite, 2012)。また、多読は読解力そのものの向上にも効果があるとメタ分析で報告されています(Jeon & Day, 2016)。


「現在地」は責めるためではなく、進むためにある

スコアを平均と比べる目的は、一喜一憂することではありません。地図の上で現在地を確認するのと同じで、次の一歩の方向を決めるためです。

  • 平均より下なら: 基礎語彙と、やさしい素材の多読・多聴から。伸びしろが大きい時期です。
  • 平均付近なら: リーディングの時間不足対策(多読による速度向上)が効きます。
  • 平均より上なら: 730点、860点という次のレベル区分が見えています。語彙の上積みを。

大事なのは、受験のたびに現在地を記録しておくことです。数字の推移は、あなたの努力の軌跡そのものになります。


真ん中から始まる物語

平均605点という数字は、見方を変えれば「ここから先は、半分より上の世界」というスタートラインです。193万人という大きな母集団の中で、自分の点が少しずつ右に動いていく——それを確かめられるのは、これだけ多くの人が受ける試験ならではの楽しみです。

まずは現在地を知ること。地図を手に入れた人から、旅は始まります。


参考文献

投稿日: 2026/7/9更新日: 2026/7/25