TOEICリーディング75分の設計図——時間配分は「戦略」である
TOEICのリーディングセクションで実力を出し切れない最大の理由は、英語力不足ではなく時間切れかもしれません。
公式のテスト形式によれば、リーディングは75分で100問。内訳はPart 5(短文穴埋め)30問、Part 6(長文穴埋め)16問、Part 7(読解)54問です。この75分をどう配るかは、当日の実力とは別に、事前に設計しておける「戦略」です。
逆算する:Part 7に何分残すか
設計の出発点は、最も時間を食うPart 7です。Part 7は54問——リーディング全体の半分以上を占めます。文書を読む時間を考えると、少なくとも55分は残したいところです。
そこから逆算すると、標準的な配分の目安はこうなります。
- •Part 5(30問):10分——1問あたり約20秒
- •Part 6(16問):8〜10分——1文書あたり2分強
- •Part 7(54問):55分前後——1問あたり約1分
重要なのは、この数字自体よりも「自分の配分を決めて、模試で検証する」というプロセスです。模試を解くとき、各パートの通過時刻をメモしておけば、自分がどこで時間を失っているかが数字で見えます。
配分を守るための2つのルール
ルール1:沼にはまらない。 1問に悩んで2分使うことは、後半の2問を捨てることと同じです。「30秒考えて分からない問題は、マークして先へ進む」といった自分ルールを事前に決めておくと、本番での判断コストが消えます。悩む価値のある問題と、知らなければ解けない問題(特にPart 5の語彙問題)の見極めも大切です。
ルール2:残り時間の使い方を決めておく。 「残り5分になったら、解いていない問題をすべてマークする」——このルールだけで、無回答による失点を防げます。TOEICには誤答による減点がないため、空欄を残す理由はありません。
時間配分の土台は、結局「読む速さ」
ここまでの話には、実は前提があります。そもそもの読解速度が足りなければ、どんな配分術も机上の空論になるということです。
読む速さは、テクニックではなく訓練の産物です。日本の大学生を対象にしたBeglar, Hunt & Kite(2012)の研究では、1年間の「楽しみのための読書」により読解速度が有意に向上し、読んだ量が多いほど伸びも大きいことが示されました。時間配分の戦略と、多読による速度の底上げ——この2つは、75分を攻略する車の両輪です。
「時間が敵」から「時間は資源」へ
時間配分を設計していない受験者にとって、75分は追いかけてくる敵です。設計した受験者にとって、75分は配分可能な資源に変わります。
次の模試で、まず1回、時刻メモを取りながら解いてみてください。自分だけの設計図の下書きが、その1回で手に入ります。
参考文献
- •IIBC「TOEIC Listening & Reading Test テストの形式と構成」 https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format.html
- •Beglar, D., Hunt, A., & Kite, Y. (2012). The effect of pleasure reading on Japanese university EFL learners' reading rates. Language Learning, 62(3), 665–703. https://doi.org/10.1111/j.1467-9922.2011.00651.x