「読める聞ける」の次へ——TOEIC S&Wという静かに伸びている選択肢
TOEICといえばリスニングとリーディング。でも、履歴書のスコア欄が同じ「L&R」で並ぶ時代に、一歩差をつける方法があります。
「話せる・書ける」を数字で証明する——TOEIC Speaking & Writing Tests(S&W)です。
S&Wは「少数派の証明書」
IIBCの発表によれば、2024年度のTOEIC L&R受験者が日本で約193.5万人であるのに対し、S&Wの受験者は約3.9万人。受験者数には大きな開きがあります。
これは見方を変えれば、チャンスです。L&Rのスコアは多くの人が持っているため、比較の土俵が混み合っています。一方S&Wのスコアは持っている人自体が少なく、「アウトプット力を客観的な数字で示せる」だけで目立てるのが現状です。
企業側の期待値も公開されています。IIBCの資料では、海外部門の社員への期待として、Speaking 140点、Writing 150点という平均値が紹介されています。また、昇格要件にTOEIC L&R 730点とあわせてSpeaking Test 130点を設定している総合商社の事例も紹介されています。「話せる証明」を制度に組み込む企業は、確実に存在するのです。
L&RとS&Wは「対立」ではなく「順番」
「これからはスピーキングの時代だからL&Rは古い」という物言いを見かけますが、これは正確ではありません。第二言語習得の研究では、聞く・読むインプットが習得の土台になるとする立場が古くからあり(Krashen, 1982)、話す・書く力は、その土台の上に育ちます。
実際、スピーキングで使える語彙や表現は、それまでに読んで聞いて蓄積したものの中からしか出てきません。だから現実的な順番はこうです。
1. L&Rでインプットの土台を測り、育てる
2. 土台がある程度できたら(目安として600〜730点前後)、S&Wでアウトプットを測り始める
3. 両方のスコアを並べて、4技能を証明する
L&RとS&Wの両方を受験することで英語コミュニケーション能力を総合的に示せることは、IIBCの就活向け資料でも紹介されています。
S&W対策は、実務練習そのもの
S&W対策の面白いところは、試験勉強がほぼそのまま実務トレーニングになることです。写真描写や意見陳述は会議での発言の練習に、Eメール作成課題は日々の英文メールの練習になります。
- •音読・シャドーイングで「口を動かす」量を確保する
- •書いた英文を声に出して読み、詰まる箇所を修正する
- •L&Rで出会った表現を、自分の話題で使ってみる——インプットをアウトプットに変換する練習が、最も効率的です。
「話せる証明」は先行者利益のあるうちに
S&Wの受験者は約3.9万人。この数字が意味するのは、「話せる・書ける」の客観証明を持つ人がまだ少ない、ということです。市場で証明書の価値は、希少なうちが最も高い。
L&Rのスコアがひと段落したら、次の一手としてS&Wを覗いてみてください。あなたの英語力の「もう半分」を、数字にする準備はできています。
参考文献
- •IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2025」発表(2024年度受験者数) https://www.iibc-global.org/iibc/press/2025/p284.html
- •IIBC「企業・団体の主なTOEIC Program活用目的」(英語活用実態調査2022・活用事例ほか) https://group.iibc-global.org/organizations/corporate/study
- •IIBC「データでみるTOEIC Tests」(就活サポート特集) https://www.iibc-global.org/toeic/special/job/data.html
- •Krashen, S. (1982). Principles and Practice in Second Language Acquisition. https://sdkrashen.com/content/books/principles_and_practice.pdf