OMNITELLER記事一覧
記事一覧に戻る更新日: 2026/7/25
コラム

「昇進の条件にTOEIC」は本当にあるのか——4割の企業が英語力を見ている

「課長になるにはTOEIC○○点が必要」——そんな話を聞いたことはありませんか。都市伝説のようにも聞こえますが、実はこれ、多くの企業で現実に存在する制度です。

TOEICを運営するIIBCが公開している「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2022」に基づく資料では、昇進・昇格において英語力を「要件としている」「参考としている」、あるいは「今後要件・参考とする可能性がある」とした企業が、各役職でおよそ4割前後にのぼると紹介されています。

つまり、いま英語と無縁の部署にいても、キャリアの階段のどこかで「スコアの提出」を求められる可能性は、決して低くないのです。


実際の企業はどんな基準を置いているのか

IIBCの活用事例では、具体的な基準スコアを設けている企業が紹介されています。たとえば、係長格への昇格に400点以上、課長格に500点以上を求める企業や、総合商社のように730点とTOEIC Speaking Test 130点を昇格要件に組み込んでいる企業の例が公開されています。

注目したいのは、この数字の「幅」です。最初の関門は400点や500点——つまり、英語が得意な人だけのハードルではなく、「社会人として最低限の英語の素地があるか」を確認するラインとして設定されているケースが多いのです。

一方で、上位の役職やグローバル案件を扱うポジションでは730点前後が目安になることもあります。役職が上がるほど、海外拠点とのやり取りや契約書の確認など、英語で「責任を持つ」場面が増えるためと考えられます。


「昇進が決まってから」では間に合わない

ここで一つ、冷静に考えたいことがあります。語彙習得の研究では、実務に必要な語彙は数千語規模にのぼり、その習得には長期間の積み重ねが必要だと報告されています(Nation, 2006)。

昇格の内示が出てから慌てて参考書を開いても、数週間でスコアを大きく動かすのは簡単ではありません。逆に言えば、昇進の話が出る前から少しずつ積み上げている人は、その瞬間に「準備ができている人」として扱われるということです。

キャリアの節目は、往々にして突然やってきます。スコアという貯金は、その突然に備える保険のようなものです。


今日からできる小さな備え

  • 自社の人事制度を確認する: 昇進・昇格要件に英語基準があるか、就業規則や人事ポータルで一度調べてみましょう。「知らなかった」が一番もったいないパターンです。
  • 現在地を測る: まず一度受験して、いまの自分のスコアを知る。目標との距離がわかれば、計画が立てられます。
  • 毎日のインプットを習慣にする: 多読・多聴のような継続型の学習は、読解力の向上に効果があることがメタ分析でも報告されています(Jeon & Day, 2016)。試験前の詰め込みより、日々の積み重ねが結局は近道です。

階段は、先に登り始めた人のもの

昇進とTOEICの関係は、脅しの材料ではありません。むしろ「基準が明文化されている」ことは、努力の方向がはっきりしているという意味で、働く側にとってフェアな仕組みだとも言えます。

4割の企業が英語力を見ている——この事実を、プレッシャーではなく「先回りのチャンス」として使ってみませんか。今日の30分が、数年後のあなたの選択肢を広げてくれるはずです。


参考文献

投稿日: 2026/7/9更新日: 2026/7/25