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記事一覧に戻る更新日: 2026/7/25
コラム

TOEICと英検、キャリアで使うならどっち?——人事院の「加算表」から見える相場観

英語の資格を取ろうと決めたとき、最初にぶつかる問いがあります。「TOEICと英検、どっちがいいの?」

この問いに、珍しく「公的機関の答え」が存在する場所があります。国家公務員採用総合職試験の加算制度です。


人事院は4つの試験を「換算」している

人事院の公表資料によれば、総合職試験では外部英語試験のスコアに応じて総得点に15点または25点が加算されます。その対応表は次のとおりです。

| 加算点 | TOEFL iBT | TOEIC L&R | IELTS | 英検 |

|---|---|---|---|---|

| 15点 | 65以上 | 600以上 | 5.5以上 | — |

| 25点 | 80以上 | 730以上 | 6.5以上 | 準1級以上 |

この表は、公的機関が複数の英語試験を「同じ物差しに載せた」貴重な例です。読み取れることが二つあります。

一つ目: 英検は準1級で初めて加算対象(しかも一気に25点側)になる一方、TOEICは600点から15点が得られます。段階的に成果を拾ってもらいやすいのはTOEICという構造です。

二つ目: 「TOEIC730点」と「英検準1級」が同じ25点に並んでいます。この対応は制度上の扱いであり、二つの試験は測る内容も形式も異なりますが、社会的な「格」の相場観として参考になります。


使う場面から逆算する

では、キャリアの文脈ではどう選ぶべきでしょうか。試験の優劣ではなく、提出先の傾向で考えるのが実務的です。

  • 企業の採用・昇進で使う: ビジネス文脈ではTOEICの存在感が大きく、採用時にスコアを要件・参考にする(今後の可能性を含む)企業は73.6%と紹介されています。社会人のキャリア用途が中心なら、TOEICが第一候補になりやすいでしょう。
  • 国家公務員総合職: 上の表のとおり、どちらでも加算されます。段階的に狙うならTOEIC、すでに英検準1級を持っているならそれで十分です。
  • 大学入試・単位認定: 学校ごとに対象試験が異なります。TOEICも2025年度入試で786校中390校が活用していますが、志望校の募集要項の確認が最優先です。

大切なのは、資格取得を目的化しないことです。どちらの試験も、測っているのは同じ「英語力」の異なる断面。土台となる語彙力・読解力・聴解力は共通であり、その土台は多読・多聴のような日々のインプットで育つことが研究で報告されています(Nakanishi, 2015)。


「両取り」も現実的な選択肢

実は、この問いには「両方」という答えもあります。土台の英語力が同じなら、追加の対策コストは形式への慣れが中心だからです。TOEICで社会人キャリアの汎用性を確保し、英検準1級で「読む・書く・話す・聞く」の証明を足す——組み合わせれば、提出先を選ばない布陣になります。

どちらから始めるにせよ、今日やるべきことは同じです。読む量と聞く量を確保すること。資格の選択で迷う時間を、まず15分のインプットに変えるところから始めましょう。


参考文献

投稿日: 2026/7/9更新日: 2026/7/25