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記事一覧に戻る更新日: 2026/7/25
コラム

英語×専門性という掛け算——74.5%の企業が挙げた「最重要スキル」の正しい使い方

「英語だけできても仕事にならない」——よく聞く言葉です。これは半分正しくて、半分もったいない。正しくは、こうです。英語は単体では武器になりにくいが、掛け算になると強い。


74.5%の意味を考える

IIBCの資料では、「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2022」に基づき、ビジネスパーソンにとって重要なスキルとして英語が74.5%で挙げられたと紹介されています。

ここで注意したいのは、企業は「英語の専門家」を7割も欲しがっているわけではない、ということです。求められているのは、自分の本業を英語でも遂行できる人です。経理ができて、英語で海外子会社とやり取りできる。設計ができて、英語の技術文書を読める。営業ができて、英語で商談の場に立てる——。

つまり74.5%という数字は、「あなたの専門性に英語を掛けたら市場価値が上がる」という、シンプルなメッセージとして読むのが正確です。


掛け算が効く理由:希少性の構造

掛け算の強さは、希少性の計算で説明できます。ある専門分野で上位20%に入るのは大変です。しかし、「専門分野で上位50%×英語で上位50%」の組み合わせなら、両方を満たす人はぐっと少なくなります。それぞれはほどほどでも、組み合わせが希少性を生むのです。

しかも英語は、専門性と違って伸ばし方が確立されています。語彙は繰り返しの接触で定着し(Webb, 2007)、読解力は多読で向上することがメタ分析で報告されています(Nakanishi, 2015)。才能ではなく投下時間で伸びる、計算の立つスキルなのです。


専門性がある人ほど、英語学習は「安く」つく

すでに専門分野を持っている人には、朗報があります。あなたの英語学習は、初学者より効率が良い可能性が高いのです。

理由は背景知識です。自分の分野の英文は、内容の予測が効くぶん、未知の語彙があっても理解しやすくなります。研究では快適な読解には語彙カバー率約98%が必要と報告されていますが(Hu & Nation, 2000)、専門分野の文書は用語が繰り返し登場するため、この水準に早く到達できます。

  • 教材は自分の分野の英文から選ぶ: 業界ニュース、技術ブログ、分野の入門書。興味と背景知識が読解を支えてくれます。
  • TOEICで「共通部分」を固める: メール、会議、日程調整といったビジネス共通の英語はTOEICの得意領域です。専門英語と汎用英語の両輪で進めましょう。
  • スコアで掛け算を「見える化」する: 「経理×TOEIC800」のように、履歴書上で掛け算が一目でわかる形を作ると、市場での通りが良くなります。

本業を捨てずに、市場価値を変える

英語×専門性の掛け算の良いところは、キャリアチェンジのような大きなリスクを取らずに、いまの延長線上で価値を高められることです。本業の経験は毎日積み上がっています。あとは英語の係数を、0.8から1.2に、1.2から1.5に上げていくだけ。

74.5%の企業が重要だと言っているスキルを、あなたの専門性に掛け合わせる。その投資は、今日の30分から始められます。


参考文献

投稿日: 2026/7/9更新日: 2026/7/25