そのスコア、単位になります——大学334校が使う「単位認定」という制度
大学の英語の単位が、教室の外で取ったTOEICスコアで認定される——そんな制度があるのをご存じですか。
TOEICを運営するIIBCの調査によれば、2021年度時点で、調査対象の大学776校のうち334校がTOEIC Programを単位認定に活用しています。短期大学では302校中56校、高等専門学校では57校中44校。特に高専では8割近くが導入しており、決して一部の大学だけの珍しい制度ではありません。
仕組みはシンプル:スコアが「成績」に変わる
単位認定の典型的な流れはこうです。大学が「TOEIC○○点以上で英語科目△単位を認定」という基準を定めており、学生が基準を満たすスコアを取得して申請すると、対象科目の単位が認定される——というものです。
基準となるスコアや認定される単位数は大学によって大きく異なるため、まずは自分の大学の履修要項や教務課の案内を確認する必要があります。それでも、この制度がもたらすメリットの構造は共通しています。
- •時間割の自由度が上がる: 認定された分、他の科目やゼミ、実験に時間を回せます。
- •学習の目標が明確になる: 「なんとなく英語の授業を受ける」から「○○点を取る」へ。ゴールが数字で見えます。
- •就活用の資産が先にできる: 単位のために取ったスコアは、そのまま就職活動でも使えます。
「単位のためのTOEIC」は一石三鳥
ここで思い出したいのが、TOEICスコアの「使い回し」の効きやすさです。
採用時にスコアを要件・参考にする(または今後その可能性がある)企業は73.6%と紹介されており、大学院進学でもスコアの提出を求める研究科があります。つまり、大学1〜2年のうちに単位認定を狙って学習しておけば、単位・就活・進学の三つの場面で同じ努力が回収できるわけです。
大学生活は想像以上に忙しくなります。3年生以降はゼミ・研究・インターンが重なり、腰を据えて英語を学ぶ時間は取りにくくなりがちです。時間に比較的余裕のある低学年のうちにスコアを作っておくことは、後の自分への最高の仕送りになります。
スコアを効率よく育てるには
単位認定を目指す学習は、試験前の一夜漬けとは相性がよくありません。読解力や語彙力は、日々の積み重ねで育つ力だからです。
- •やさしい英文の多読: 多読が読解力を向上させることはメタ分析で報告されています(Nakanishi, 2015)。図書館のGraded Readersは大学生の強い味方です。
- •スキマ時間のリスニング: 通学時間に英語音声を聞く習慣は、リスニングセクションの得点土台になります。
- •定期受験: 学内でIPテストが実施される大学も多くあります。ただし単位認定の対象が公開テストに限られる場合もあるため、対象テストの種類は必ず確認しましょう。
教室の外の努力が、ちゃんと評価される
単位認定制度は、「英語力は授業の中だけで育つものではない」という大学側のメッセージでもあります。自分のペースで積み上げた学習が、単位という形で正式に評価される——学習者にとって、これほどフェアな仕組みはありません。
履修登録の前に、一度教務課のページを開いてみてください。「TOEIC」の文字を見つけたら、それはあなたの英語学習が三倍おいしくなるサインです。
参考文献
- •IIBC「入試・単位認定におけるTOEIC Programの活用状況」 https://group.iibc-global.org/data-resources/data/admission-and-credit-appraisal
- •IIBC「データでみるTOEIC Tests」(就活サポート特集) https://www.iibc-global.org/toeic/special/job/data.html
- •Nakanishi, T. (2015). A meta-analysis of extensive reading research. TESOL Quarterly, 49(1), 6–37. https://doi.org/10.1002/tesq.157